辰巳 寛先生 失語症の発話障害への有効性が確立「メロディックイントネーションセラピー (MIT) 」とは

日時
2022年6月30日(木)20時~
場所
オンライン(zoom)
講師
辰巳 寛
参加費
一般:2,000円
会員:アカデミー会員無料

詳細

MIT(Melodic Intonation Therapy:メロディック イントネーション セラピー)とは、複数の音楽的な要素を用いて、運動性失語症・非流暢性失語症の発話機能改善を促進する技法です。1970年代初めの開発以来、多くの研究がなされ、米国神経学会のガイドラインには失語症に対する有効性が記載、エビデンスも確立されています。日本にも1980年代に導入されましたが、患者や言語聴覚士からのニーズが高いにも関わらず、手法を文章で説明することが困難なことから、臨床現場では広く普及するには至っていませんでした。
「日本MIT協会」は、その点を動画配信、オンライン受講などで改善。失語症がある方が少しでも「伝わる喜び」を感じられるよう、MIT日本語版(MIT-J)の研究、開発、実践の育成支援をおこなっています。
ご本人、ご家族、地域社会、さらには臨床現場となる医療教育の領域において、MITが積極的に展開・普及されることを願っています。

[専門職の皆様へ]
Boston学派Albert先生らの研究グループによって開発されたMIT(Melodic Intonation Therapy)は、開発から半世紀近く経た現在、欧米のみならず中東圏やアジア圏など、ほぼ全世界に普及し、失語症者の発話機能回復の有力な治療法の一つとして注目されています。
MITは、各地域の使用言語の特性を考慮して、多少とも修正されながら世界に広まりました。日本語版MIT(MIT-J)も同様です。日本MIT協会会長の関啓子先生は、Albert先生らの原法を忠実に踏まえたうえで、日本語の特性に合致させたMIT-Jを開発しました。MIT-Jは、“日本人による日本人のためのMIT”です。
MITの目的は、失語症者とご家族の福利向上に寄与することです。それは全てのMITに関わる臨床家や研究者の共通の願いです。「何か変わったこと」「奇をてらって目新しいこと」をすることが目的ではありません。オリジナルを尊重し、確信のある治療を行うことが、技法そのものへの信頼性を高めます。
本邦では、MITは発語失行に対する流暢性促進療法の一種として認識されています。しかし、先行研究では、失語症者の聴覚的理解力やコミュニケーション態度の向上など、発話流暢性の改善だけでなく、幅広い臨床効能を示唆する報告が相次いでいます。MITの治療適応者についても、成人失語症者だけでなく、小児や失語症以外の言語障害児・者に対する臨床有効性を検証する試みも進められています。
MIT-Jでは臨床技法を標準化しました。それはMITの治療効果判定について、複数の施設間で比較検証できる環境が整備されたことを意味します。MIT-Jの誕生によって、今後はMIT-Jに関する臨床研究が本格的にスタートされることが期待されます。
是非、正真正銘のMIT技法を修得し、「MITトレーナー」の資格を取得いただいたうえで、臨床の幅広い現場でMIT-Jを実践いただければと願います。

[一般の皆様(当事者・ご家族)へ]
 MITは、失語症の方の心身の負担をできる限り少なく、愉しみながら発話機能の向上を目指します。日本MIT協会では、一般の皆様を対象に、失語症の方へのご支援とMIT-Jの普及活動に対してご理解とご協力をいただける「MITアンバサダー」制度を運営しています。認定された方には、MIT広報大使として、社会に対して失語症とMIT-Jの啓発活動にお力添えをいただけることを期待いたします。

講師

辰巳 寛

言語聴覚士 辰巳 寛
名古屋市立大学大学院医学研究科生体情報・機能制御医学専攻修了
博士(医学)(名古屋市立大学)
愛知学院大学 心身科学部 健康科学科 教授
日本メロディックイントネーションセラピー協会(日本 MIT 協会)副会長

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